変身(2013年6月16日)

カフカの『変身』を読んだ。不条理文学というジャンルがあるのを初めて知った。

 不条理という言葉の意味を辞書を引いて確かめてみたがいまいちピンとこない。朝起きたら自分が、息子が、兄弟が、気持ちの悪い虫に変身していたらこれを不条理というのだろうか。

 なぜグレーゴルは虫になったのか?理由をググってみたが明確な解説は無かった。彼は、自分の変身について深く考えることなく、現実を冷静に受けとめていた。自分が虫であることを客観視さえしていた。

そんなことよりも、彼の関心事は家族の事だった。家族から厄介者扱いをされても、グレーゴルは家族の事を常に考え死んでいった。変な虫に変身して家族を怯えさせてしまう事が、何よりも辛かったのではないだろうか。

彼の死後、家族の希望に満ちた雰囲気。家族の気持ちもなんとなくわかる。何なんだろうこのやるせなさ。

 不気味で後味の悪さはあるが、様々な視点から読むことのできる良い作品だと思った。カフカと聞くと、とても内容が難しく読むのが大変な作品を想像していたが、翻訳が良かったのかすんなりと読むことができた。

 

もし僕が明日の朝、虫になっていたら、愛する可愛い可愛い妹(いないけど)に、スリッパで引っ叩かれてさっさと死にたい。